特集
一皿に沖縄、グラスに自然心ほどける食卓「La’Reir」を訪ねて
- 取材地
- 沖縄市
- 公開日
- 2026年3月12日
沖縄市の静かな住宅街。そこに、訪れる人の心をふわりと解きほぐすような、小さな食とワインの店があります。
お店の名前は「La’Reir(ラ・レイール)」。フランス語で女性を意味する「La」と、スペイン語で笑うを意味する「Reir」を組み合わせたその名前には、「日々、仕事や家事、育児などでがんばっている女性たちが、ホッコリ、ニッコリできる場所でありたい」というオーナーシェフ・嘉陽ヤヨイさんの温かな願いが込められています。

大阪を中心に10年以上のキャリアを積み、野菜ソムリエの資格も持つ嘉陽さん。
彼女が作り出すのは、沖縄の豊かな自然と、作り手の愛情がたっぷり詰まったイノベーティブ料理です。

嘉陽さんの料理の根底にあるのは、「素材への深い敬意」。 彼女は、気になる野菜があれば自ら生産者のもとへ足を運び、言葉を交わして土の匂いを感じ、味を確かめると言います。また、魚であれば、朝早くに港のせりへ向かい、その日に揚がったばかりの活きの良いものを自らの目で見極めます。
「沖縄の野菜は元気に育って力強いし、豚肉も魚ものびのびと育っているせいか、独特の旨みを蓄えています。だからこそ、その個性を活かした料理を作りたいんです」

そう語る嘉陽さんのもとには、この日も大宜味村の農園から、農薬を使用せずに育てられたケールやセロリ、芽キャベツ、瑞々しいシークヮーサーなどが届いていました。見るからに健やかそうで、生で食べてもきっとおいしいはず。
「生産者と話をしながら、生き生きとした野菜を見ている時に、ふと瞬間に素材の組み合わせ方や料理のアイデアがひらめくんです」 そんな彼女の料理には、ちょっと意外な組み合わせもあって、食べる人の好奇心をそそります。
全14席の落ち着いた空間でいただけるランチは、旬の野菜をふんだんに使ったコース仕立て。嘉陽さんが一人で切り盛りし、一皿一皿、丁寧に仕上げていきます。

運ばれてきた瞬間、思わず笑顔がこぼれるほど鮮やかな前菜のプレートには、沖縄の豊かな恵みがぎゅっと凝縮されています。平飼い卵で作られた半熟卵には、同じ卵から手作りした濃厚なマヨネーズと爽やかなディルを添えて。軽やかに焼き上げたシュー生地には、瑞々しい完熟トマトと生モッツァレラをサンドしています。さらに、スライスした白イカには、泡盛の搾りかすから作られた珍しいうま藻パウダーをひと振り。
素材同士の意外な組み合わせに驚きながらも、一口ごとに沖縄の自然が口いっぱいに広がる、嘉陽さんの遊び心と丁寧な手仕事が光る一皿です。

そして、この日のメインは、平安座漁港で水揚げされたばかりの魚と白イカのムース。赤キャベツで優しく包み、レモングラスの香りを纏わせてじっくりと蒸し焼きにされています。 一口含めば、赤キャベツが閉じ込めた水分によってしっとりと、ふわっと解けるような食感。県産渡り蟹の旨みが凝縮されたソースを絡めれば、海の豊かな香りが口いっぱいに広がります。
スパイスやハーブを巧みに使いながらも、決して素材を邪魔しない。その絶妙なバランスが、嘉陽さんの真骨頂です。

嘉陽さんは、出し惜しみすることなくレシピを教えたり、料理教室を開催することもあるそうです。それは、「家庭でも安心しておいしいものを食べてほしい」という、母のような優しい視線があるから。
「私の料理で、明日へ向かう足取りがちょっと軽くなったらうれしい」
その言葉通り、彼女の料理はどれも食後感が驚くほど軽やかです。体に良いものを食べたという充足感が、心まで満たしてくれます。
昼は季節に合わせた自家製酵素ジュースと共に。夜は彼女がセレクトしたナチュラルワインと共に。自分を労わりたい日、大切な誰かと笑顔を分かち合いたい日。そんな日は、嘉陽さんの丁寧な手仕事が光る「La’Reir」の扉を、ぜひ叩いてみてください。
沖縄食材とナチュラルワインのお店
La’Reir(ラ・レイール)
住所/沖縄市照屋1-44-1 1F







